畳の種類は、何を基準にするかで変わってきます。ここでは一番わかりやすい畳縁の有無を基準にし、それから畳縁や畳表の組み合わせでいろいろと紹介しています。
畳のサイズに関しては地方性や特殊な所もあり、非常に多いので、ここでは紹介しません。なお、JIS規格によると標準寸法は4種類です。
参考:「JISA5902 畳」、日本産業標準調査会より閲覧が可能です。
縁無し畳
縁無し畳の基本型は半畳サイズで、畳で一般に使われる畳表を使い、縦横交互に敷いたものです。こうすると織り込まれたイ草に当たる光の角度で、縦横に陰影差が生まれ、市松模様が現れます。また、見る角度により陰影差は変化し、違った表情を見られるのがこの畳の面白いところです。
あまり広い部屋にはバランスが悪くなり、お薦めできません。四畳半がベストです。
これを「目積表」で製作し「琉球畳」という方がおられますが、間違った言い方であり、世の中に混乱を招いています。そもそも琉球(沖縄)には、「琉球畳」は無いです。 強いて言うなら「琉球畳」とは、「琉球表(七島表)」を使った畳をそう呼ぶべきです。
七島表(琉球表)の縁無し畳
四畳半に半畳を九枚敷いた部屋です。1990年に琉球表(七島表)で作りました。十年たっても畳表を折り曲げた箇所が擦り切れる事もなく、さすが琉球表。
今回はイ草の目積表で表替えをしました。普通の畳表で作れば、もっと市松模様がはっきりするのですが、大きさが京間(関西間)なので畳表の巾が足りず、目積表や琉球表を使用せざるを得ませんでした。
半畳の下こしらえです。四板仕様です。プラスチックのコーナーを使っていますが、本式の形は檜や、さわらの板を使います。
縁無し畳は縁の付いた普通の畳と、製作方法がかなり違います。通常の畳と同じつもりで仕事をすると、畳表の折り目の部分に隙間が生じます。
化学表の縁無し畳
一般的な厚みの畳
畳表を裏側まで折り込んで、縫ってありますので、表が緩みません。三角形や丸い畳も製作できます。
薄畳
薄くても、すべて糸で縫ってあるので、古くなっても安心です。
色違いの化学表で作ってみました。グレーとピンクです。
一畳サイズの縁無し畳
縁無し畳は半畳サイズのイメージがありますが、一畳サイズも出来ます。
畳縁の有る畳
一般的な畳になりますが、畳の造作を変えたり、畳縁が特別なものになると、畳の雰囲気は変わります。
一本縁の畳
八畳間を一本縁仕上げしたものです。
中の畳を一枚は「縁無し畳」に、もう一枚を「一本縁畳」にしています。畳の巾方向が全て畳縁一本になり、部屋がすっきりした印象を受けます。
縁無し畳の発展形と言えるでしょう。畳の歴史から見ると、江戸時代に町人階層がら生まれた仕事です。
中物の縁無し畳と、一本縁の合わせた部分です。どちらの畳に畳縁が付いているのか分からない仕事が、腕の見せ所です。
茶室の畳
茶室の畳です。
茶室の炉の部分です。 炉縁と畳縁の境が見難いですが、畳縁が畳表の谷に目乗りになるようにします。
紋縁の畳
お寺の内陣の畳です。中紋縁を使用しました。全ての工程が機械縫いです。理論道理に縫えば機械縫いでも、この程度の完成度に出来ます。
大畳
通常、畳床は機械製作のため、規定の大きさが決まっています。当店では手縫いの畳床が製作できるため、それにとらわれることなく大きな畳が製作できます。それを生かして製作した畳です。
参考までに、一般的な一番大きいといわれる本間は6尺3寸×3尺1寸5分(191cm×95.5cm)です。10寸=1尺=約30.3cm。
2002年製作 大畳
畳床:手縫い床 掛縫い 25通り
畳縁:繧繝縁
サイズ:5尺╳5尺(約151cm)
2003年製作 大畳
日本一大きい畳を目指して製作しました。
畳床:手縫い床 掛縫い 28通り
畳縁:大紋縁
畳表:美草表の幅広
サイズ:6尺3寸╳6尺3寸(約191cm)